効果的な勉強方法があるなら、誰しも取り入れたいのではないでしょうか。
でも数学における効果的な勉強方法って一体どういうものなのでしょう?
その前提として数学や科学の問題に集中しても解くのは骨が折れる。この理由は、人類進化の長い歴史の中で人が数学的概念を扱い始めてまだ日が浅いことにあるだろう。数学的概念は通常の言語の概念よりも抽象的に暗号化されていることが多いので、取っつきにくい(『直感力を高める 数学脳のつくりかた』バーバラ・オークリー著)ということを踏まえた方がよさそうです。
ということは、つまりそんなワケのわからない数学を勉強していくと、必ず大なり小なり壁にぶつかることになります。
効果的な勉強方法のポイントとは、つまりその壁の越え方にあります。
さて、ここでもう一つの前提として、脳は非常に注意深い状態と、リラックスした安静状態の二種類のネットワークを適宜切り替えていること(同)を知っておく必要があります。前者と関係ある思考モードを「集中モード」と、後者の場合を「拡散モード」と呼ぶ(同)ことにしましょう。
集中モードでは、それこそ集中して考えることが出来るので、このモードをひたすらONにしておけばいいような気もしますが、残念ながら視野が狭くなるという欠点もあります。また、一度思い込んだことにとらわれて柔軟に考えられなくなる(構え効果)こともあります。
拡散モードでは、さまざまな脳領域がつながるため、心を自由に泳がせるような広い視点の大局的見地でいられますが、極めてぼんやりとしている状態でもあるので、(厳密にいえば)意識的に何かを考えることは難しいといえます。
さあ、この2つのモードを上手く使い分け、どのように壁を越えていったらいいのでしょうか。
具体的には、集中モードでひたすら問題を解いたり新しい概念の理解へ努めたりします。そこで壁にぶつかって、どうにも越えるのが厳しくなったら、拡散モードで大局的見地に立ち突破口を見出すわけです。
ただ、この拡散モードのときは、先に書いたように意識的に何かを考えているわけではありません。
脳内の情報が無意識に整理され、無意識下で別の視点に立つことで、自動的に考えが次のステップに進めるわけです。
つまり壁にぶつかり、行き詰ったら一旦勉強をやめて時間置くことです。
ただ誤解してはいけないのが、集中モードの時にかなりしっかりと考え抜いていないと、そもそも整理される材料も無意識下で思索を巡らす事柄も無いので、突破口も何も無いわけです。
とは言え、ずいぶんヘンテコな方法だと思いませんか?
でもこれは洋の東西を問わず、昔から言われていることなんですね。
アメリカの心理学者ハワード・グルーバーの考えでは、創造力の秘訣は次の三つの「B」のどれか一つを行うことにある。すなわち、ベッド(睡眠)、バース(入浴)、ぼんやり考えることができるバスでの移動である(同)。
ちなみに東洋では「三上」がアイデアの湧き出る状況だと言われています。
三上つまり三つの上とは、枕の上、厠の上(つまりトイレ)、馬の上(移動中)。
この類似性にはびっくりですよね。
昔の人は経験上、拡散モードを知っていたんですね。
何となく拡散モードの方がフォーカスされてしまったような気がしますが(笑)、
ただ休めばいいというわけではないですよ、一応(笑)。
集中モード時にかなり考え抜くからこそ、拡散モードが活きるわけです。
筋トレと同じようなことでしょうか。
筋肉に負荷を掛けるからこそ、休んだ後によりパワーアップするというか、、、。
逆に強く主張したいのは、宿題などをため込んでギリギリ直前にやった場合、拡散モードの入る余地は無いので良い勉強が出来ていないわけです。
つまりまとめると、
時間的に余裕を持った状態で、
考えられる限界までしっかりと考え抜き、
壁にぶつかったら一旦考えることから離れ、
時間を置いて再び着手する、
ということですね。
でもまあ、それって一生懸命勉強するってことじゃんとツッコまれても、単純に言えばそうだけど、と返すしかないかもしれませんね(笑)。
ただ、この脳のメカニズムを知った上で行うのは重要ですよね。
ぜひ試してみてくださいね!
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